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【VOL.12】最後の仕上げはアイビーの葉 [2004/09/04](横山 容子)

(2007/04/01 その他のメンバー )

「建築家はその失敗をアイビーの葉で隠す」という格言(?)は学生時代、先生から聞かされた言葉です。
失敗を隠す?じゃあ、そんな失敗をしないようにしよう、と当時はいきがっていたものですが、時を重ねるにつれ、これは建築と緑の相性の良さを最大限に表す言葉だったのかなあと思えるようになってきました。


散歩の途中、建てられたばかりの新しい家を見かけても、緑の植えられていない家はなんだか、たよりなげで落ち着かない。

人が住まうようになって、玄関先にパンジーの鉢が置かれ,ハナミズキの苗木がグングン大きくなってはじめて、家も風景の一部のように街並になじんでくるようです。


原初の緑したたる屋久島も行ってみたいし、北海道の畏怖さえ感じる大自然の緑のパワーも大好き。 でも、どうということはないビルの前庭にケヤキの木がすっくと立っていたりすると、むしょうにうれしくて、やたら見上げていたりします。どうということは ないビルもなんだか堂々と見えてきます。どうも人工物である建築に寄り添っている緑が、私にはことのほか美しく見えるようです。

また、逆の意味でルイス・カーンの設計したソーク研究所の中庭も最も行って見たい空間のひとつです。一本の木もない中庭。緑さえ拒絶する完全なる自律が建築に備わっているのか、緑のない空間の迫力を味わってみたいと思うのです。


自分のたずさわった住宅に限って言えば、建築の最後の仕上げであるアイビーの葉っぱをにぎっているのは、私ではなくそこに住まう家族の方々。

時折訪れる度に増えていく緑はその家の新しい顔を引き出して安らぎを与えてくれます。


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